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2006.12.18

日本聾話学校見学のコト。

日本聾話学校は、現在の明治学院大学に赴任し、その後東京女子大学で教鞭を取っていたA.K.ライシャワー氏ご夫妻が大正9年に開校しました。
ご夫妻の娘さんのフェリシアが2歳の時に失聴したことがきっかけとなっています。
ちなみにフェリシアの兄は元駐日大使で日本人と結婚したエドウィン・ライシャワー氏です。

この学校は日本で唯一の学校教育法による私立のろう教育機関であるということ以外に、キリスト教の教えに基づく学校であるという特徴もあります。
そして、一番大きな特徴はその名の通り「聾話学校」であるということです。
つまり、聴覚を最大限に活用して話ができるような教育方法を行なっています。

私は私学が特色を打ち出して教育していることに関して、否定するつもりはありません。
聴覚口話法で育ってきた多くのろう者たちが、いい思い出がないという教育方法で、しかも安くはない授業料を支払って大切な子供を預けるわけですから、親も本人も納得がいくよう授業じゃないと、これほど長い間学校を存続することができないのではないかと思います。

今年、念願かなって初めて見学させていただきました。
学校内には幼稚部、小学部、中学部があり併設施設として難聴児通園施設とオージオロジー部というのがあります。
オージオロジー部では、聴力検査、補聴器の調整など行なっているそうです。
耳型の採取もここで行なっていて、「聴こえ」に関するすべてのフォローを担っているという印象でした。
赤外線補聴システムの開発もこちらで行なったそうで、校内の殆どの場所では
このシステムを使って子供たちの耳に情報が届くようになっているようです。
場所によっては磁気ループを用いているようです。
小学部以上の子供たちは机の上にあるマイクを用いて、相互に会話ができるそうです。(その様子は残念ながら見られませんでした。)
補聴器や人工内耳の子供には有効なのだそうです。

校内では子供たち同士でも殆ど、口話でコミュニケーションを取っているようでした。
時々、手話っぽい手の動きがあったりもしますが・・・。
先生方は殆どいつもマイクを使って話しかけています。
話し方は、ゆっくり・はっきりという感じではなくてわりと普通のスピードで話していました。

幼稚部の場合、担任の先生が毎朝1人10分の個別指導の時間を設けているそうですが、この場合もマイクを使うそうです。
個別指導の間、他の子達はお庭などで自由に遊んでいるそうです。
個別指導といっても、訓練的なことは一切行わず「話すことが楽しい」となるように、絵本などを使って子供とお話をするそうです。
聴くこと・話すことに抵抗を持たせない工夫のようです。

読唇を指導することは、中学部でもないそうです。
聴こえないことは書いてコミュニケーションを取ればいい・・ということのようです。
ことばを覚えて、話せれば自然と相手の口の動きが読めるというのもあるのだと思います。
社会に出て自立するための文章力を身につけることにウェイトをおいているので、カリキュラムでは5教科の時間が一般の学校よりも多く設けてあるそうです。
その辺りは私立だからこそ・・ですね。

こちらでは、児童・生徒の様子に合わせてインテグレーションを勧める一方で、インテグレーションした後で戸惑わないように幼稚部の時から、近くの一般校と合同の行事等で交流しているそうです。

通園・通学している子供たちの中にはデフファミリーの子もいるそうです。
学校では、学内行事の時には手話通訳がつくそうです。
また、小学部後半の生徒くらいになると聴こえる人とは口話や筆談で、ろう者とは手話で会話をしている児童もいるそうで、手話を禁止するわけではなく、あくまでも残存聴力を生かそうという考え方だということでした。

入学者が減少しているのは、少子化の現在一般校やろう学校と同様のようです。
生徒数が減少しているのに途中でインテグレーションする人が増えると更に学校運営が大変かも・・とか思いました^^;;
中学までこちらの学校に通学し、卒業後インテグレーションする生徒と公立のろう学校の高等部に進学する生徒の割合は若干、インテグレーションする方が多い程度のようです。

小学生のうちにインテグレーションする児童も多いようです。
小さいうちにインテグレーションすると、他の学校には磁気ループや赤外線補聴システムがないので、なかなか大変じゃないのかなぁというのが私の印象です。
聴覚障害に理解のある小学校教諭もなかなかいないと思うし・・・。
適応できるかどうか、見極めるのは聾話学校の先生と児童の保護者のようです。
・・・難しい(>_<)

公立の学校がこうなってしまうことには、やっぱり抵抗がありますが、私学なので、こういう方法もあっていいと思います。
逆に、日本手話で指導して書記日本語の力もつけさせ、ろう文化も聴者文化も習得させようようというバイリンガル・バイカルチュラル教育を指導方針とする龍の子学園も、今はNPO法人なのでフリースクールだけれど学校法人になって、学校教育法に基づいたろう教育ができる教育機関になって欲しいと思います。(私の勝手な要望m(__)m)
学校法人の取得は難しいのでしょうか?
私には詳細はわかりませんが、高等部までなら都道府県の私学宗教課などに申請するのだと思いますが、基準はどうなのでしょうか・・・。

聴力や親や本人の考え方や性格にあわせて、選択肢が増えていくのはいいことだと私は思います。
手話で学べる私学、口話中心の私学があって、公立のろう学校があって、色んな仕事をしている大人のろう者と出会えるフリースクールがある・・・。
な~んて、どうでしょう?
私個人としては、ろう者にはろう文化と日本手話を受け継いでいって欲しいとは思いますが・・・。

人工内耳も含め、賛否両論あるとは思いますが、聴こえる子供が通う学校に多くの選択肢があるように、ろう児・難聴児が通う教育機関も教育方針を選べるようになるといいなと思います。

今度は、私と同世代くらいの日本聾話学校の卒業生と会ってお話をしてみたいなと思っています。

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コメント

お久しぶりです。凡人です。

学校に来て頂いたんですね。学校に着くまでが大変だったでしょう(^^;)

私の息子は幼稚部年中の途中まで公立ろう学校に通った後、この学校にやってきました。公立ろうでは「いい思い出」はありませんねえ。親も子も追い立てられるような、見下されているような、居心地の悪さがありました(^^;)そこの辺にもろう学校の問題があるような気がします。

教育に選択肢があるべきって意見には大賛成です。それが普通だと思います。公立ろうの時に教師と親の懇談会があって「将来的に手話コースと口話コースを作ったらどうか」と提案したら鼻で笑われましたが(^^;)

それにしても、この学校の方針はドシルさんの考え方と180°違うはずなのにこんなに丁寧に紹介して頂くとは・・・感激しました。素敵な方ですね。

また書き込みさせてもらってもいいですか?手話だ口話だと対立せずに、みんな仲良く・・・というのが私の願いです。

投稿: 凡人 | 2006.12.21 01:35

★ 凡人さん
お久しぶりです。
コメントありがとうございます。
またまた、コメントしにくかったのではないですか^^;;;
私が何を書いても遠慮なく、いつでもコメントしてくださいm(__)m
聾話学校に関しての私の理解度は概ね正しいでしょうか?
保護者の親として見たとき、間違っている点はないでしょうか?
自然がいっぱいの、いい場所ですよね*^^*

私の考え方と180度違うというわけではないのですよ・・・。
聴力があるならそれなりに活用できる教授法で学んだ方がいいとは思うのです。
ただ強制やスパルタには反対ですけれど。
60dbと100dbが同じ方法で指導して同じ効果があるとは思えないし・・・。
自分の価値観を誰かに押し付けたりするつもりはなくて、正しい情報を自分も知りたいし、伝えたいと思っています。
ですから、色んな考え方を学びたいと思います。
「この方法が絶対だ!」という教育方法はないと思っています。

私も、公立のろう学校には手話コースと口話コースがあればいいという意見に賛成です。いいですね!
聴力や子供の性格等に合せてコース分けできたら、いいですよね。
ろう学校の先生が相手にしてくれなかったなんて残念です。
いい先生がいる学校もあるんですけどね・・・。
昔は、本人の意に反してろう学校に異動になってやる気がない先生や戸惑っている先生がいましたが、最近はそういう話も聞きませんね。

投稿: ドシル | 2006.12.21 10:34

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