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2007.02.04

『主語を抹殺した男』

主語を抹殺した男/評伝三上章

今、私のお気に入りの一冊がこちらです。
学校で習ってきた「国語」の文法は、「英文法」の形式に当てはめたもので「日本語」の文法にはそぐわない考え方であると言った三上章さんの評伝です。

三上さんの説は実にユニークです。例えば「象は鼻がながい」のような日本語の主語はどれでしょう?
学校文法では、ひとつの文章に「は」と「が」がある文章の文法をうまく説明できないんです。
その謎を、三上さんは解いてくれます。
学校で習う文法は、三上文法が良かったなぁと思います。
そうすれば、よく判らない現代文の活用形を丸暗記する必要もなかったでしょう^^;

私は学生時代、外国人に日本語を教えていたことがあるのですが、日本語の文法をうまく説明できないことが多くなりました。
その疑問をスッキリといてくれるのが、三上文法です。
そんな三上文法を考えた、三上章さんについてこの本で生涯を辿ることができます。
本当に面白い一冊なので、日本語に興味のある方はぜひぜひご覧ください。

ちなみに、私達が学校の「国語」の授業で教わってきた学校文法は橋本進吉氏の説を取り入れたもので俗に「橋本文法」と言われています。
正直、日本人の私達でもよく理解できない面が多いので日本語学校など、第2言語として日本語を学ぶ方たちを納得させられる文法ではありません。
ですので、日本語教育の現場で用いられる文法は学校文法とは異なるものでした。

東大卒のエライ先生である、橋本氏の文法に真っ向勝負をし、橋本文法を否定したのが三上章さんによる「三上文法」です。
誰もが納得できる日本語の文法なのですが、国語学会の方ではないこともあり、三上文法は生前、文法学者等から殆ど相手にされなかったそうです。
現在の国語学者の大御所・学習院大学名誉教授である大野晋氏もそのひとりのようで、一説には大野氏が橋本氏に師事したことから三上さんを敵視しているのでは・・といわれているほどです。
他に、三上文法に反論しても太刀打ちできないので反論しないという説もあるようですが・・・。
大野氏の真意は不明です。

いずれにしても従来「国語学会」だった学会名が「日本語学会」に近年改められ、世界の中の1言語としての「日本語」として研究が進んできたら、三上文法が「学校文法」になる日が来るのかもしれません。
学会が認めなくても、海外で日本語を教えている方たちには三上文法が取り入れられているわけですから・・・。
やもすると、橋本文法で「国語」を学んできた私達より海外で三上文法で「日本語」を学んできた外国人の方が、日本語の文法を的確に説明できるかもしれません^^;;

たかが文法。されど文法。
様々なドラマがあったのだなぁと感心するとともに、本当に何事も奥が深いことに、驚かされる1冊です。
国際化の進んだ今の日本では、大野氏が「国語学の大御所」なら、三上さんは「日本語学の父」でしょうか・・・。
なんだか不思議な感じです。

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