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2011.10.04

『手話が愛の扉を開いた』

1996年4月に出版された那須英彰さんの本です。
サブタイトルは「聾のNHK手話ニュースキャスターが、"手言葉"で綴った愛と涙の人生」とあります。
今さらながら、市立図書館で見つけて読みました。
この本は、那須さんご自身が日本語で書いたものではなく、那須さんが一番語りやすい(だろう)手話で語ったものを萩原昌子さんが日本語に翻訳したものです。

1996年にすでに「手話翻訳」があり、こうして書籍になっていることに私は驚きました。
本の内容は、那須さんの生い立ちや奥様との出会い、ろう学校での思い出や米内山さんとの出逢いと日本ろう者劇団のことなどが綴られています。
他には少しですが、就職した会社の様子や会社でのコミュニケーションについても触れています。

古い本ですが、手話を取り巻く色々な事情は昔も今もそれほど大きく変わっていないことが文中から分かります。
例えば、当時は障害者の権利条約なんてまだまだ出てきませんが手話はろう者の大切な言葉であることが記されています。

また日本語対応手話(手指日本語)と日本手話のことも書かれています。
ただ、本文中には「日本手話」とは一度もでてきません。当時は「日本手話」という言い方がまだ定着していなかったのでしょうか?
那須さんは「本当の手話」と「日本語対応手話」という書き方をしていたのが印象深いです。
以下に、一部引用してご紹介します。

ろう者が昔から使ってきた「手話」。音声を話しながら同時進行で単語だけを並べていく「日本語対応手話」。
(中略)
どれが正しくてどれが間違いだとは言えない。
 ただ、「本当の手話」とは、ろう者が昔から当たり前のように使ってきた言葉、資格言語としての手話こそが「本当の手話」だと知っておいてほしい。

また、上記以外にNMS(non-manual signals=非手指動作)に関してもNMSという言葉は使われていませんが、眉の上げ下げや頬の膨らみ、口を尖らすなどろう者独自の用法があり、手話は手だけではないと書かれています。
当時と比べれば手話の文法についても僅かですが広がっているのでしょうが、今なお、一般的には正しく手話が理解されているわけではないという点では殆ど当時と同じだなぁなんて思ってしまいました。

那須さんの生活スタイルも当時とはまた変わっているのではないかと思います。
また21世紀の那須さんの言葉で、エッセイでも出して欲しいなと思いました。

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コメント

ドシルさんの読書家なのには ほんとうに尊敬してます。今までほんの情報で 私もいくつか買い読みました、。那須さんのことかいてあるのなら とても興味深い 探して読みたいと思います

投稿: ひろろん | 2011.10.10 11:01

sun ひろろんさん
コメントありがとうございます。
古い本なので、本屋さんにあるかどうかは分かりませんが、図書館にはあると思いますよ(^^)
読まれたら感想をお聞かせくださいね。

投稿: ドシル | 2011.10.11 09:24

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