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2016.10.26

「漂う子」

漂う子

コーダの手話通訳士が主人公の異色ミステリー「デフ・ヴォイス」が発売になったのは数年前。
初めて「デフ・ヴォイス」を見た時の衝撃は忘れられません。
なんと面白い着眼点なんだろうと思いました。
そんな丸山正樹さんの待望の新作が先日発売になったので、早速読みました^^
新作は手話もろう者も登場しませんが、社会に埋もれて皆が気にもしないけれど実は大きな問題...というテーマを扱っているのは前作と同じです。
今回のテーマはタイトル「漂う子」が示す通り、「居所不明児」についての物語です。

近年時々ニュースなどで取り上げられますが、日本はこんなに豊かに見えて識字率も高く、教育水準も高そうですが戸籍がない子供や住民票がある住所に居住しておらず就学もままならない「行方不明」の子供が結構多くいるのです。
誘拐されたり監禁されたりという事件関係の場合もあるでしょうし、家庭の事情で母や父が連れ回しているとか虐待しているとか様々な理由があるようですが、「教育を受ける権利」も「教育を受けさせる義務」も無視した例が多く存在しているそうです。

私もニュースでしか見たことがありませんでしたが、今回「漂う子」を読んでそんな事情の一部を学べた気がしています。
千差万別..様々な事情があるので想像もできないのですが...。
なんとなく、目を背けるような社会問題をフィクションではありますが表に引っ張り出す手腕に感心してしまいました。
手話やコーダを知らない人たちからも注目された前作同様、広くこの問題が知られる一助になる作品ではないかと思います。

こう書いていると前作と新作はまったく違う作品のようですが、読んでいると共通点もたくさんあります^^
骨子は似ているなぁと感じました。
主人公ははっきりとした定職がなく、仕事を探している男性で家族関係に若干の問題を抱えている。
そして、恋人がいるものの結婚に踏み切れず結婚や子どもを持つことに躊躇がある。
さらに、作中にはキーとなるNPOが出てきてそのNPOとの関わりから事件に否応なく巻き込まれている...^^;;
うん、似ているといえば似ているのです(笑)

でも全然違う物語で、読んでいて飽きなくて嫌にならず最後まで読めてしまいます。
また、私はあれ〜!?と思ったのですが作者の遊び心がちょろっと登場人物の一人にあるんですよね(笑)
これに気づくには記憶力が大事です。

現実でも作品の中でも居所不明児に関して決定的な対応策はなかったりするのですが作中の登場人物のセリフに、「子殺しは社会の罪」というのがあり、私は非常に印象に残りました。
今の日本は子育てしづらいだろう...と、宇多田ヒカルさんも言っていましたが社会がギスギスして「子どもの声がうるさいから保育園反対」とか「ベビーカーだと怒鳴られた」とか「マタニティマークをつけてると嫌な顔される」とかそんな話も聞きますが、日本の未来を担うのは子どもたちなので、社会全体で大切にできるように忙しい日々ですが寛大にでも甘やかさない..そんな風にできたらいいなとぼんやり思いました。

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